2026/2027年シーズンのインフルエンザの流行予測とワクチンについて
1)早くも流行期に入ったインフルエンザ!
厚生労働省は8月28日、インフルエンザが全国的に流行期に入ったと発表しました。昨シーズンより5週早く、直近1週間(8月17~23日)に全国の定点医療機関から報告された1医療機関あたり1.11人で、流行入りの目安となる1.00人を超えました。都道府県別では沖縄県が4.43人で最も多く、岩手県2.10人、青森県2.08人、神奈川県1.99人、埼玉県1.83人、千葉県1.80人と続いた。京都は1.18でした。
2)香港型(H3N2)の変異株「サブクレードK」が流行
2025年の夏、A香港型(H3N2)に「サブクレードK」と呼ばれる変異ウイルスが出現しました。系統分類ではJ.2.4.1と表記されるもので、7月〜8月にかけて、オーストラリアを中心とする南半球の冬のシーズンに記録的な大流行を起こしました。
その後、国際的な人の往来などを通じてイギリスなど北半球へ急速に拡大しました。さらに日本国内へは、海外からの入国者や観光客などを介して夏以降に国内へ持ち込まれたとみられています。従来のインフルエンザよりも感染するスピードが早く、ウイルス表面のタンパク質に複数の変異があり、過去の感染経験や古いワクチンによる免疫が認知されにくい構造をしているため、急速に従来のインフルエンザ株から置き換わったとされています。
日本でも例年より早い流行となり、昨年は9月から10月にかけてピークを迎えました(1医療機関あたり51.12)。
特徴
若年層での急増:イギリスなどのデータでは、特に18歳未満の子供や若年成人の間で爆発的に感染が広がったことが報告されています。
症状や重症化リスク:症状自体は従来のインフルエンザと変わらず、高熱、頭痛、関節痛、咳、のどの痛みなどが中心です。変異株だからといって「特別に重症化しやすい」という明確なデータはありませんが、H3N2型自体がもともと高齢者や乳幼児で重症化しやすいため警戒されています。
3)2026/2027シーズンのインフルエンザワクチン株
2025/2026シーズンは、上記のサブクレードKの流行に加え、年明けにはB型ビクトリア系統による2度目の流行がありました。そこで米国食品医薬品局(FDA)の諮問委員会は、2026/2027年のインフルエンザワクチン株の決定について下記の内容を全会一致で支持されました。
新たなH3N2株は、現在A型陽性検体の中で優勢となっているサブクレードKを標的とし、下記を推奨しました。
A/ミズーリ/11/2025 ( H1N1pdm09)様ウイルス
A/ダーウィン/1454/2025 (H3N2)様ウイルス、
B/東京/EIS13-175/2025 (B/ビクトリア系統)様ウイルス
を含めるべきであると述べています。
注射用ワクチンで使用される株
日本国内で製造されるインフルエンザHAワクチン(皮下注射のワクチン)には、次の3株が入ります。厚生労働省が2026年6月4日付で正式に決定を通知しました。
【A型株】
A/スイス/6849/2025(IVR-278)(H1N1pdm09亜型)
A/ミシガン/105/2025(SAN-049A)(H3N2亜型・いわゆる香港型)
【B型株】
B/東京/EIS13-175/2025(ビクトリア系統)
WHOの鶏卵培養ワクチンの推奨はH1N1がA/ミズーリ/11/2025でしたが、日本は同じ系統に属するA/スイス/6849/2025を採用しています。H3N2では複数の候補のうち、抗原性が変わらなかったSAN-049A株が選ばれています。また、B型ではWHO推奨株であるB/東京/EIS13-175/2025となっています。
経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト®点鼻液)
2024年から国内販売の適応となった鼻腔内に噴霧する弱毒生インフルエンザワクチンです。このワクチン液に含まれるインフルエンザウイルスは、25℃の低温でよく増殖するウイルスを培養を重ねることで、ほとんど病原性がなくなっています(弱毒化)。そして、鼻腔内から投与されたこのウイルスは、36~37℃ぐらいの人間の体内では、成育するには高温すぎる環境のため、増殖しにくくなります。
対象年齢:2歳以上19歳未満
接種回数:1回
副作用:鼻水、鼻つまりなど鼻炎の症状が約半数(40~50%)、発熱、咽頭痛(10%)
いずれも数日で改善します 。
重大な副作用としてはショックやアナフィラキシー
接種方法は専用の器具を用いて、左右の鼻の中に0.1mlずつ、計0.2ml噴霧
<接種できない方>
・今までに喘鳴を指摘されたことのある方、1年以内に喘息発作があった方
・心疾患、肺疾患・喘息、肝疾患、糖尿病、貧血、神経性疾患など慢性疾患をお持ちの方
・免疫不全者と接触を持つ方
・アスピリン内服中の方
・妊婦、または妊娠の可能性のある方
・卵摂取でアナフィラキシーの既往がある、ゲンタシンアレルギー方
・過去4週間以内に、生ワクチンの接種をしている方
・ステロイドなどの免疫抑制剤を使用中の方
フルミスト®で使用されるワクチン株
【A型株】
A/スイス/6849/2025(H1N1)
A/ダーウィン/1369/2025(H3N2)
【B型株】
B/パース/115/2025(ビクトリア系統)
こちらも、サブクレードKに対応するとされるA/ダーウィン株とB型インフルエンザは流行したビクトリア系統株で構成されています。


